英語力を伸ばす読書術「Graded Readers」のすすめ

横浜商科大学 准教授 林 剛司さん

「英語の本を読ませたいけれど、難しすぎて挫折してしまう」「子どもに英語に親しんでほしいけれど、何から始めればいいかわからない」—-そんな悩みを持つ方におすすめなのが、「Graded Readers(グレーデッド・リーダーズ)」(以下「GR」)です。
今回は、横浜商科大学准教授の林剛司先生に、日本のようなEFL(English as a Foreign Language:「外国語」としての英語)環境で学ぶ私たちにとって、なぜGRが最適なのか、その意義と活用法について解説していただきました。

自分のレベルに合わせて読める「Graded Readers(GR)」とは

GRとは、英語学習者向けに語彙や文法のレベルを制限・調整し、読みやすく書かれた本の総称です。その種類は多岐にわたり、名作文学を易しい英語で書き直した「リライト版」や、学習者向けに書き下ろされたオリジナル作品、さらにはノンフィクションや伝記など、興味に合わせて選ぶことができます。

最大の特徴は、段階的にレベル分け(難易度別)されていること。英語初級者から上級者まで、無理なく洋書の世界を楽しめる設計になっています。

レベル別に整理されたGraded Readersの本棚

EFL学習者にGRが適している5つの理由

なぜ、GRがEFL環境の学習者に適しているのでしょうか。その主なメリットは以下の5点です。

① 国際的に通じる「標準的な英語」が身につく
GRでは、特定のネイティブスピーカーだけに通じるスラングや難解なイディオムではなく、国際的な場面で広く通じる「標準的な英語」が使われています。 例えば、「食事に行こう」と言う際、ネイティブ特有の表現である “Let’s grab a bite!” よりも、シンプルで誤解のない “Let’s eat something!” といった表現が多用されます。これにより、非ネイティブ同士の会話でもスムーズに意図が伝わる英語力が養われます。

② 語彙や文法を段階的に習得できる
レベル別に構成されているため、現在の自分の英語力に合った一冊を選ぶことができます。 いきなり背伸びをするのではなく、無理のないレベルからスタートし、少しずつ語彙や文法の知識を積み上げながら難易度を上げていく。このプロセスこそが、確実な英語力向上への近道です。

③ 「辞書なしで読む」ことで読解力が向上する
GRは、辞書を引かずにスムーズに読めるよう設計されています。 いちいち単語を調べるストレスから解放され、英語を英語のまま理解する体験を重ねることで、読書への抵抗感が薄れます。結果として、EFL環境では不足しがちな「英語に触れる時間」を自然と増やすことができるのです。

④ 物語の背景や文化を理解しやすい
原書の文学作品では、その国特有の文化的背景や難解な表現が理解の壁となることが少なくありません。 しかしGRのリライト版では、そうした要素が学習者向けに適切に調整されています。英語圏の文化に親しみつつ、挫折することなく物語の本質を楽しむことができます。

⑤ 実践的なコミュニケーション能力の向上
現代のビジネスや日常会話において、英語でやり取りする相手はネイティブとは限りません。世界中の「第二言語として英語を話す人々(L2スピーカー)」と意思疎通を図る機会が増えています。 GRで用いられる「平易で伝わりやすい英語」は、こうした国際的なコミュニケーションの現場で最も有効なツールとなります。

英語力を確実に伸ばす、GR活用のポイント

GRの効果を最大限に引き出すために、次のような学習法を取り入れてみましょう。

  • 多読(Extensive Reading)の実践
    辞書を使わずに「今の自分で読めるレベル」の本を大量に読みましょう。文脈から意味を推測する力がつき、語彙や文法が自然と定着します。
  • 付属音声を活用する
    多くのGRには朗読音声が付属しています。テキストを目で追いながら音声を聴くことで、リーディングだけでなくリスニング力の強化にもつながります。
  • 内容を要約(アウトプット)する
    読後に本の内容を自分の言葉でまとめてみましょう。インプットした情報を整理して表現することで、英語の構成力が磨かれます。
  • ペアやグループでディスカッション
    読んだ本について誰かと話し合うことは、会話力向上の良いトレーニングになります。感想や意見を交換することで、より深い理解へとつながります。

GRは使える英語への近道

GRは、EFL学習者が「国際的に通じる英語」を習得するための、非常に有意義なテキストです。 語彙・文法・読解力を無理なく伸ばしながら、英語圏の文化や物語を楽しむ。GRを通じて身につけたスキルは、将来的に英語を「ツール」として使いこなすための強固な土台となるでしょう。

林剛司さん

林 剛司(はやし たけし)
横浜商科大学 准教授。 英語教育を専門とし、主な著書に『中学英語から始める洋書の世界』(青春出版社)、『日本人のための楽しい「英語読書」入門』(22世紀アート)、『中学英語でもっと読みたくなる洋書の世界』(青春出版社)などがある。多読を通じた英語教育の普及に尽力している。

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