
土田 美咲(つちだ みさき)

シンガポールでのリサーチインターン
私は今年の春休みに、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)の研究機関の一つであるSIFBI(Singapore Institute of Food and Biotechnology Innovation)で、2か月間のリサーチインターンに行ってきました。
シンガポールでの生活
シンガポールは観光地として有名ですが、実際の生活についてはあまり知られていないかもしれません。私の印象では、日本人には非常に住みやすい国です。治安が良く、日本と同じくらい安全に暮らせるうえ、街が清潔で公共交通機関も便利です。また、安価に外食できる環境が整っているので、日本食レストランが豊富なのはありがたい点です。加えて、日本語対応の医療サービスもあるため、体調を崩した際の不安も少ないと感じました。
若い世代を中心に、日本のアニメや文化に親しんでいる人も多く、旅行などを通じて日本に対して好意的な印象を持つ人が多いようです。実際、私のシンガポールの友人には、日本の友人よりもアニメ好きの「オタク」が多いという印象です。
特に良いと感じたのは、都市開発の一環として緑化が進められており、市街地にも緑が多い点です。一方で、一年を通して気温が高いことや、国土が狭く行ける場所が限られていることなどから、長期滞在すると少し飽きてしまうのではという声を現地の方から聞きました。また、土地が狭いことから住居費が高く、住まい探しには苦労しました。
シンガポールの言語
シンガポールの公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語の4言語ですが、日常生活で最も広く使われているのは英語です。ビジネスや教育、公的文書も基本的に英語で記載されており、シンガポールの学校では英語が主要な授業言語となっています。そのため、多くの人が流暢に英語を話しますが、国民の約7割が中華系であることや、中国人留学生が多いことから、中国語もある程度話せると便利だと感じました。
また、シンガポールでは「シングリッシュ」と呼ばれる独特の英語が広く使われています。これは英語に中国語やマレー語などが混じったローカルな英語で、例えば、「Can, can.」(「できるよ」)や、「アラマー」(驚いたときに使う表現)などの表現が日常的に用いられます。特に「アラマー」は、日本語の「あらまあ」と発音が全く同じで、個人的には面白いと感じました。ただし、シンガポールではネガティブな意味合いで使われることが多いため、「アラマーが好き」と話したら、「Nice!」と皮肉を言われたこともありました。
私は日本で小学校から英語を学んできましたが、特に論文を読む際には、地道に文法や単語を勉強しておいてよかったと感じます。一方で、スピーキングやリスニングなどの実践的な英語力はまだまだ課題であり、シンガポール人同士の会話のスピードについていけないことも多々ありました。もし、小さいころからスピーキング力やリスニング力を鍛えておけば、もう少し楽ではなかったかと思います。
留学中は誰しも語学力にもどかしさを感じることがあると思いますが、私は、「ネイティブではないのだから仕方がない」と割り切りつつ、自宅学習を続けることで少しずつ上達しようと考えています。特に短期的な目標がないと行動しにくいタイプなので、現在はTOEFLⓇ iBTのスコアアップを目標にしています。

海外留学もいろいろ
海外留学には、以下のようにさまざまな形態があります。
• 正規留学(学位取得を目的とする)
• 交換留学(在籍大学の提携校で半年〜1年学ぶ)
• 語学留学(語学学校や大学の語学コースに通う)
• 短期留学(数週間〜数か月のプログラムで語学や文化を学ぶ)
私が選択したのは、これらの形態とは異なるリサーチインターン(研究留学)と呼ばれるものです。大学や研究機関、企業などで研究活動に従事するインターンシップのことで、研究職志望の学生が、実際の研究プロジェクトに関わりながらスキルを磨くなど、一般的な企業インターンとは違って、研究分野に特化した経験を積むことができます。
私の選択理由は、単に授業を受けるよりも、自分で研究を進めるほうが得られるものが大きいと考えたことと、海外の大学院を目指す場合、現地での研究スタイルや生活を実際に体験できるほか、海外の研究者ともつながりができ、出願時に有利になると考えたからです。
「とりあえず留学してみる」という決断力はもちろん大切です。でも自分が留学を通じて何を得たいのかを明確にし、最も適した形態を選ぶことが、将来のキャリア形成にとって、とても有意義ではないかと感じています。
土田 美咲(つちだ みさき)
2022年4月、京都大学農学部応用生命科学科に入学。現在4年生。長期休暇を活用し、米国ライス大学、米国ジョージア工科大学、シンガポールA*STARにて、それぞれ1〜2月のリサーチインターンを経験。また、米国グレーシャー国立公園でのワークトラベルにも参加。