【私の海外留学体験記】
「何事も意外とどうにかなるものだ」
幼少期に身につけた英語を磨いて、名門UBCへ
落ち込んだ日々から立ち直って身につけた一生モノのマインドセット

原田 茉優(はらだ まゆ)

私は2024年9月から2025年4月までの8か月間、カナダ・バンクーバーにあるUniversity of British Columbia(UBC)に交換留学していました。渡航前・留学中・帰国後の3つの段階に分けて、私自身の体験と、そこから得た学びや気づきについてご紹介します。

渡航前の悩みと準備

留学前に最も不安に感じていたのは、現地の大学の専門的な授業についていけるだけの英語力を自分が身につけられているかどうかでした。幼少期から英会話教室に通っていた私は、英語に触れる機会が比較的多かったため、英語に対する抵抗感はあまりなく、簡単な会話なら臆せずに話せるという自信はありました。しかし英語力が大きく向上したと実感できたのは、中学生になって資格試験(中学生までは英検®、高校からはTOEFL®テスト)の取得を目標に自主的に学習に取り組むようになってから。明確な目標を設定し、計画的に学習を進めることで、語彙や文法だけでなく、英語を使って考える力が徐々に身についていきました。

また、中学、高校時代には英語スピーチコンテストに複数回出場する機会があり、準備期間にALTの先生方と積極的に会話したことも英語力向上に役立ちました。自分の考えをどう表現すれば相手に理解してもらえるかを試行錯誤する中で、英語はテストのための科目ではなく、人と人とをつなぐためのコミュニケーションツールだと強く実感するようになりました。こうして英語を「使う」経験を積み重ねたことも、英語学習に対する大きな動機づけとなり、留学に挑戦したいという思いにもつながっていきました。

一方で、日常会話にはある程度の自信はついたものの、大学の専門的な授業に必要な、論理的に意見を組み立て、根拠を示しながらディスカッションする力については、明らかに不足していると感じていました。特に、自分の意見を瞬時に整理し、英語で的確に表現するのはとても難しく、専攻分野の生命科学に関して、日本語では理解している概念も、それを英語の専門用語を使って説明するには語彙力が足りないことも大きな課題だと感じていました。

そこで、渡航前の準備期間には、英語の専門書や論文を日常的に読む習慣をつけ、授業での発言やディスカッションを想定し、自分の考えを英語で簡潔にまとめる会話練習を重点的に行いました。こうした準備は留学に臨むための土台作りとして大きな意味があったと感じています。

留学中のテスト週間に書き込んだノート

留学中のテスト期間の様子。土台作りをしていても、
まだまだ覚えなければならない専門用語がたくさんあります。

留学中の気づきと異文化理解

UBCのキャンパスは、もともと先住民の方々が暮らしていた土地の上に建てられています。そのため、多くの授業や公式イベントの冒頭では、この土地の本来の所有者である先住民に対する感謝と敬意を表わす時間が設けられていました。最初は形式的なものかと思っていましたが、留学生活を通して、これが大学全体に深く根付いた姿勢を表わすものであることを実感しました。

また、9月30日に設けられたOrange Shirt Dayでは、かつて先住民の子どもたちが、本人の意思に反して寄宿学校に通わされていた歴史を振り返るためのイベントが行われます。私も友人とともに参加し、寄宿学校を実際に経験した方の証言を聞いたり、先住民の音楽や伝承に触れたりしました。私にとってこれらの体験は、歴史を学ぶことの重要性や、現在の社会がその歴史とどのように向き合っているのかを考えるとてもよい機会になりました。

キャンパス内には、先住民の芸術を象徴するトーテムポールが複数設置されており、建物の内装やデザインにもそのモチーフがたくさん取り入れられています。UBCの人類学博物館は、先住民の文化や歴史に関する展示で世界的に知られていて、学内外から多くの研究者や観光客が訪れています。こうした環境の中で学んでいると、大学は単に知識を提供するだけではなく、歴史や文化を理解し、次世代へ伝えていく役割も担っているのだとあらためて考えさせられました。

UBC人類学博物館の展示室

人類学博物館の様子

学習面で日本の大学との大きな違いを感じたのは、同じ科目の講義や実習が週に複数回設定されている点。1学期に履修する科目数は日本の大学よりも少なく、一つひとつの分野について時間をかけて深く学びます。また、講義とは別に、10〜30人程度の少人数で行われるTutorial(学生主体のディスカッション)やLab Activity(実際のサンプルを使った実験活動)も多く、教員やTA(Teaching Assistant)に直接質問や相談ができ学習を進めやすい環境が整っていました。さらに授業スタイルは、復習よりも予習を重視するのが一般的で、基本的な概念については事前に理解していることを前提に講義が行われます。そのため、自分なりに内容を整理して疑問点を明確にしておくことで、新しい知識を効率的に吸収できました。反対に主体的に学ぶ姿勢がなければ授業についていくのは難しく、周囲の学生の学習意欲がとても高いことを日々実感しました。

勉強によく使っていたUBCのキャンパス

勉強によく使っていたキャンパス。いつも学生でいっぱいです。

帰国後に感じた成長・変化

留学を振り返って、自分が大きく成長したと感じているのは精神面です。異なる文化や価値観の中で生活し、学業に取り組む日々は、新しい発見に満ちていて刺激的であると同時に、気づかないうちに精神的な疲労も蓄積していきました。家族や長年の友人にはすぐに相談できないため、小さな悩みも徐々に大きくなり、何度か気分が落ち込み、いわゆるdepressionのような状態に陥ったこともありました。これは、日本では経験したことのないものでした。

当初はどのように対処すればよいか分からず、数日間体を休めてみたりしましたが、気持ちはかえって沈むばかり。そこで、友人や教員と話す機会を意識的に増やし、自分の感じている不安や悩みを言葉に出してみました。すると自分の状況を客観的に捉えられるようになり、次第に精神的な負担が軽くなっていくのを感じました。

また生活面でも、考えているだけでは何も前に進まない状況に何度も直面しました。そんな時、まずは行動してみて、状況に応じて柔軟に対応することで乗り越えていきました。その結果、「何事も意外とどうにかなるものだ」というマインドセットを持てるようになり、帰国後の研究や日常生活においてもこれは大いに活きているようです。人によって心の安定を保つ方法は異なると思いますが、自分に合った対処法を見つけることができたことは、これからの人生の大きな財産になると思っています。

友人と見に行ったアイスホッケーの様子

友人と観に行ったアイスホッケー。留学生活で息抜きは大事です。

原田茉優さんのプロフィール写真

原田 茉優(はらだ まゆ)
京都大学農学部応用生命科学科3年。2024年9月から2025年4月まで、カナダ・バンクーバーのUniversity of British Columbia(UBC)へ交換留学。

ECCジュニアHarmony [異文化理解]【私の海外留学体験記】「何事も意外とどうにかなるものだ」幼少期に身につけた英語を磨いて、名門UBCへ

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